現代の音楽シーンで歌を聴いてもらうためにPAシステムは不可欠です。
同時に、そのPAシステムを操作するPAエンジニア(ミキサー)の存在も欠かせません。
PAミキサー無くしては、音楽を聴衆に届ける事が出来ないのです。
映画にもなった「羊と鋼の森」はピアノ調律師の物語でした。
ピアノ奏者ではなく、調律師という、いわば裏方にスポットを当てた意欲作でした。
音楽はプレイヤーと聴衆だけで成立するものではない。
ピアノを正しくメンテナンスする裏方がいて始めてプレイヤーから聴衆に届けられるという隠れた事実を示してくれました。
今回は現代の音楽を支える裏方さんたちについて考えてみましょう。
目次
◆PAミキサーという裏方
小規模なインストアライブ、地下アイドルのコンサート、演歌歌手のイベント。
どんな音楽ライブにもPAミキサーの存在は不可欠です。
CDの頭出し、マイクの音量調節、大ホールでのコンソール操作。
PAミキサーの仕事はライブの規模・形態により様々ですが、仕事自体は必須です。
◆音楽ライブを支える裏方たち
PAミキサーだけが裏方ではありません。照明係も会場警備も重要な仕事です。
さらには、会場設営のために大きく重い機材を搬入するスタッフもまた、音楽を支える裏方であると言えます。
例えば、夏の季節に開催される野外フェス。
普段は音楽とは無縁の空き地を短時間で音楽ライブ会場に仕上げ、フェスを安全に運営し、撤収する。
この一連の作業全てが裏方の仕事です。
ミュージシャンがステージに専念出来るのも、フェスのお客さんが安心して音楽を楽しめるのも、ステージに背を向けている裏方さんたちの仕事があるからです。
◆裏方に求められる資質・条件
日本のフェスに出演した海外ミュージシャンの言葉があります。
「このフェスには最高のスタッフがいる。だから安心してオレたちはステージに立てる」
華やかなライブイベントを陰で支える裏方にとって最高の賛辞ではないでしょうか。
では、そんなミュージシャンから絶対的な信頼を得るスタッフ(裏方)には、どんな条件・資質が求められるのでしょう。
まず、音楽好きである事が大前提です。
そして、ミュージシャンから聴衆へ音楽を届ける技術と知識が求められます。
PAミキサーなら巨大で複雑なPAシステムを操作する技術・知識が必要です。
照明、舞台装置に関してもその分野の知識が求められます。
ミュージシャンが演奏に専念出来るように、楽器をメンテナンスするスタッフも必要です。
彼らは楽器をベストコンディションに保ち、プレイヤーの意図する音を創り出す重要な仕事を担います。
◆トラブルゼロが最低条件
ボーカリストが歌い出そうとしたら、マイクの音量が下がっていた、マイクケーブルが断線していた。
あるいは、音量バランスが乱れ聞くに耐えない音になっていた。
PAミキサーがミスを犯したりトラブルの原因になっていたりしてはライブイベントは成立しません。
ボーカリスト、ミュージシャンにとってPAシステムはライフラインも同様です。
トラブルゼロが当たり前の厳しい条件がPAミキサーに求められます。
本番に至るリハーサルも同様です。滞りなくリハーサルを進行させるのはPAミキサーの当たり前の仕事です。
当たり前をこなした上で、さらに良い音にする仕事がPAミキサーに求められます。
ボーカリストの歌を際立たせるミキシング技術、歌いやすモニター環境を聞き出すコミュニケーションスキル、トラブルを未然に防ぐ対応力、瞬発力もPAミキサーに求められます。
◆まとめ
水道の蛇口をひねれば水が出るように、音が出て当たり前のPAシステムを任されているのがPAミキサーという裏方です。
音楽のライフラインを担う、究極の裏方がPAミキサーという仕事なのです。
音楽を聴衆に届ける熱い想いが必要なポジションと言えるでしょう。