「リトミック」という言葉をご存知でしょうか?
子どもの教育に敏感な方なら「あぁ、あのリトミックね」とご承知かも知れません。
最近注目をあびる新しい言葉、「リトミック」についてご説明します。
まず、「リトミック」とは音楽教育のひとつです。
教育といっても、演奏技術を特訓したりソルフェージュを繰り返したりといったものではありません。
「リトミック」は小さな子どものうちからゲーム感覚で音楽に親しみ、音感、身体表現やコミュニケーションスキルを高める新しい習い事なのです。
音楽に親しみながら、楽譜の読み方、演奏技術だけでなく身体的、感覚的、知的といった多角的な教育を目指しています。
心(マインド)、力(パワー)、性格(キャラクター)の三つの成長を同時に促す新しい形の音楽教育、それが「リトミック」です。
目次
◆リトミックの歴史
リトミックは、スイスの作曲家・音楽教育家エミール・ジャック=ダルクローズによって考えだされた音楽教育法です。
欧米では、1900年代からさまざまな教育の分野に取り入れられています。
日本にリトミックがもたらされたのは、戦後間もなくの事でした。
ニューヨークで学んだ板野平が、帰国後、国立音楽大学の専門教育課程においてはじめた教育が日本でのリトミックのはじまりとされています。
当時の日本における教育は、秩序を重んじる一斉教育、経済成長を支えるための結果重点主義を余儀なくされていました。
音楽教育もまた演奏技術向上、合唱コンクールでの結果重視など、音楽の自由な楽しみとは無縁のものだったのです。
そんな状況下で板野平がもたらした最新の音楽教育法「リトミック」は、子どもが子どもらしくあるために、そして、子どもの目線に立った指導理念を展開させたのです。
◆どんな事をするの?
時代に媚びず、常に優しく子ども達を見つめるリトミックではどんな指導、教育をするのでしょう。
心(マインド)、力(パワー)、性格(キャラクター)がリトミックの三つの柱である事は先述の通りです。
リトミックでは、『情操教育』、『音感教育』、『生活習慣』を三位一体の一貫した指導システムとして、子どもたちが自然に身に付けられるよう楽しみながら学べます。
具体的には、曲に合わせて手遊び、曲に合わせて体操、楽器を自由に鳴らすなど子どもの主体的な動きを促す指導を行います。
楽器演奏が出来ない小さい子どもであれば、楽器ではなく新聞紙など身近なものを使って音を楽しむ指導をします。
歌を歌ったり、ピアノの音などに合わせて動物の真似をしたりなど身体表現を組み合わせる事で自己表現豊かな音楽教育となっています。
◆他の音楽教育とどう違うの?
ピアノ、お琴といった楽器演奏に特化した習い事もあります。
リトミックは音楽を中心にした情操教育と捉えて下さい。
聴音、演奏技術など受験対策ではなく、豊かで可能性あふれる人格形成がリトミックの本来の目的です。
リトミックの指導結果はまず、音楽能力の飛躍的向上という形になって表れます。
心(マインド)、力(パワー)、性格(キャラクター)の成長を促すリトミックの成果を子どもの成長とともにじっくりと見守って下さい。
◆リトミックって子どもだけのものなの?
リトミックは人間にとって最も自然な表現である音楽を手段として、幼児に優しく深く働きかけます。
しかし、その指導は子どもだけのものではありません。
親子で音楽を通してコミュニケーションする、親世代のストレスを身体を動かすことで解消するなど、ママパパでも楽しめるのもリトミックのメリットです。
リトミックを子どもといっしょに体験すると、普段見られない子どもの様子を見たり、成長を一層感じられたりと楽しい時間になる事でしょう。
◆まとめ
新しい音楽教育法、リトミックをご紹介しました。
情操教育、コミュニケーションスキル、表現力の向上に効果的なリトミックの魅力を感じて頂けたと思います。
次回以降は、リトミックの効果や種類、方法について詳しくご紹介します。