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日本でミュージカルが一般的になった時代
最近CMや映画で、ミュージカルのように役者さんが歌って踊る映像が多いですね。
また、学校や地域団体などのミュージカルに参加したり、ご覧になったことがある方もいるかもしれません。
時代の流れで、ミュージカルは日本人にも身近になってきたと言えるでしょう。
ミュージカルについて、どんなイメージをお持ちですか?
華やかな衣装を着て、豪華なセットで歌って踊る?登場人物が、なぜか台詞の代わりに歌い出す?
タレントのタモリさんが、「死ぬシーンなのに、なんで歌ってハモって死ぬんだ?」とミュージカル嫌いを公言したエピソードを聴いたことがある方もいるかもしれません。
今日は皆さんに、ミュージカルについて少しだけお話したいと思います。
テンションが上がったら歌いたい!
もともとミュージカルはアメリカで生まれた「演劇」のひとつの形です。
フランスのバレエ、イタリアのオペラ、ハリウッドの映画文化、黒人のジャズ、などの影響を受けて、長い時間をかけて今の形になりました。
ところで、皆さんは日常で鼻歌を歌ったりしたことはありますか?
どんな時に鼻歌を歌いますか?
楽しい時、嬉しい時、気分の良い時に、なぜかふと口ずさんでしまったりした経験はありませんか?そんなときってソワソワして動き出したくなりませんか?
また、悲しい時、声をあげて泣いている人を見たことはありますか?
もし実際にそんな体験をした事のある方は、その時の胸に込み上げてくるどうしようもない感情の感覚を覚えていらっしゃるかもしれません。
悔しい時は拳で床をたたいたり、足を踏みならすかもしれません。
こういった、セリフだけでは表せないほど激しい感情の昂ぶりを拡張して、歌や踊り、音楽で表現しているのです。
さっきまでしゃべっていた人が急に歌い出すのではないんです。その人は、歌いだしたいほど気持ちが高ぶっていたんですね。
ミュージカルの特徴
CMで見かけるミュージカル風のシーンって、たくさんの人たちが踊って歌って決めポーズ!という印象が強いですよね。
本来のミュージカルの特徴として、一曲が始まって決めポーズで終わるまでに、ひとつのシーンが結実している事がおおいです。
つまり、音楽の一曲一曲にストーリーや意味があって、音楽は登場人物の気持ちの動きで進行していくのです。
もしくは、そのシーンの舞台となる「場所」の表現の場合も有ります。
音楽の中に聞こえる太鼓や笛が、サバンナの大地や大空を表していたり。優雅な、または力強い踊りが、その人たちの階級や暮らしぶりを表していたり。
もしあなたが劇場の椅子に座って、ひとたびシーンが始まれば、音楽、歌、踊り、目の前に広がる舞台セットで、まるで本当にその場所にきてしまったように感じる事でしょう。
戦争の真っただ中、違う時代違う国の王宮、路地裏だったり海の中だったりするかもしれません。
そしてミュージカルの俳優は、役として歌い踊ります。
キャラクターの心情をリアルタイムで感じて、音楽を支配していきます。
つまり、ミュージカルは派手な演出や独自の表現法はあっても、まず第一に「演劇」なんです。
死ぬ間際に歌うわけない・・・!?
もし、みぞおちを刺されたら(笑)、確かに痛くて歌っている場合じゃないですよね!
でももし刺されたら、どんな気持ちになるでしょう?まずは病院に行きたいところですが(笑)、シチュエーション別に想像してみましょう。
訳あって追われている身だったら、無念や後悔があるかも。仲間に裏切られたら、なぜ?という恨みになるでしょう。
好きな人を守るためだったら…安心や愛情で相手を思うかもしれませんね。
ミュージカルは演劇なので、こういう「想い」を拡張して、それが音楽になっていきます。
確かに刺されたら痛くて歌えません。でも「演劇」なので、どんな気持ちになるか、音楽で表現できるのです。
これがミュージカルの素敵なところです。
普通の日常を送っていると、忙しくて楽しいのか嬉しいのか分からなくなったり、悲しいのに涙を流せなくなったりする事があるかもしれません。
ミュージカルの中で登場するシーンは、非日常だったり、劇的な瞬間であることが多いです。つまり、感情が動く瞬間を描いているんです。
テレビで、深い悲しみに立たされた人や、大きな喜びを勝ち得た人を見ると、大きな感情が渦巻いているのが画面越しでも伝わってくると思います。
そんな大きな感情の渦が「種」となり、音楽で表現されて大きく花開くとき、観客に感動を与えます。
そしてその「種」の部分は、普通の日常では現れないだけで、誰でも持っている気持ちなのです。
まとめ
と、いうわけで、ミュージカルとはなにか?ということについて、少しお話させて頂きました。
次回は、実際のミュージカルの見どころや、音楽の聴きどころについて、もう少し詳しくご紹介したいと思います。