「ボイパ」ことボイスパーカッションの演奏方法や練習のやり方をご紹介しようと思います。
ア・カペラで多用されるボイパには大きく分けて二つの発声方法があります。
「ボイスドラム」と呼ばれる有声パーカッションと「マウスドラム」と呼ばれる無声パーカッションの二つです。
その違いは文字通り声を使うか否かだけです。
具体的には「バスドラ」の様な低い音を「ドッ」と声に出して発声する有声パーカッションと「ハイハット」の様な高い音を唇や舌などを使って破裂音などで表現する無声パーカッションに分かれます。
どちらか一方をマスターすればよい訳ではなく、ボイパには有声(ボイスドラム)と無声(マウスドラム)の両方をマスターする必要があります。
目次
◆基本的な音の出し方
ボイパには様々な打楽器の音を模倣するテクニックがありますが、基本的には三つの音から学ぶ事が上達への第一歩になります。
その三つとは、「ハイハット」、「スネア」、「バスドラ(バスドラム)」の三つです。
この三つは本物のドラムセットでもビートを刻む基本的なセットで最低限三つの打楽器だけで音楽が成り立つ重要なものです。
では、ひとつずつボイパの音の出し方をご紹介しましょう。
「ハイハット」はドラムセットの中で最小単位のリズムを刻む金属製の打楽器です。
金属をスティックで叩く「チッ」という高い音をボイパで表現するには、舌打ちの音を利用します。
「舌打ち」は無声パーカッションに分類されますが、分類にこだわる事なく理想の音に近づけるためにケースバイケースで有声パーカッションも使いましょう。
「ハイハット」は舌打ちの音を息の出し入れと唇の形を変化させる事で本物らしさに近づけます。
ポイントは息を吐き(出し)ながら舌打ちをする事です。息を出す事で音の通り道がマイクのある方向(前)へ向きより明瞭で金属的な音になります。
余談ですが、マイクの性能や使い方を熟知する事もボイパでは大きなアドバンテージになります。
また、「ハイハット」には「クローズ」と「オープン」の二つの音色があり、これもボイパで表現する事でビートにバリエーションが生まれます。
「クローズ」は「チッ」という短い音、「オープン」は「チィー」という長めの音になります。
「チッチッチィー」と繰り返し音を出し、「オープン、「クローズ」のニュアンスの違いをマスターして下さい。
「スネア」は「パンッ」という乾いた破裂音が特徴的な打楽器です。通常、2拍4拍にあってビートを強調するポジションになります。
本物のスネアドラムをご覧になると分かりますが、スネアドラムは特殊な構造をしています。
「スナッピー」と呼ばれるコイル状の金属の線が何本も裏側に張られています。
この「スナッピー」がスネアドラムの響きを複雑なものにしているのです。
ボイパで「スネア」を演奏するには、「スネア」の膜(ヘッド)を叩く音と金属製のスナッピーが振動する音の二つを再現しなければなりません。
ヘッドを叩く音は唇の破裂音、スナッピーの振動は歯の隙間から漏れる音で再現します。破裂音を上手に出すコツは、発声前に唇に無駄な力を入れ過ぎない事です。
リラックスした状態から一気に鋭い破裂音が出るように繰り返し練習しましょう。
スナッピーの振動音は金属的な高い音です。
この音は歯の隙間から息を出して発音します。
唇の先をすぼめる様にすると高い音が出しやすくなります。
最後は「バスドラ」です。
実際のバスドラムは口径やシェルの深さによって多彩な音色になります。
ボイパではビートの先頭を決める低音パートとして演奏され、ビートをリードするポジションです。
「バスドラ」を再現するポイントは、有声パーカッションで低い声を出す事です。「ドゥッ」、「ドッ」と曲によって声(音)を変え曲にあった音を探しましょう。
「バスドラ」=低い音=「ドン」だけでは音のバリエーションが限定されてしまいます。YouTubeなど参考音源を自由な発想で研究して下さい。
歯切れの良いバスドラのためには、短い音を出す事もポイントになります。「ドゥッ」と発声したら素早く唇を閉じて音を切り次の音に備えましょう。
ここまで「ハイハット」、「スネア」、「バスドラ」の基本3セットをご紹介しました。
本物のドラムセットにはこの他に「タム」、「シンバル」など多彩な楽器が加わります。
さらにスクラッチやシンセベースなどもビートボックスには求められます。
ドラマーは両手両足を駆使して音を出しています。ボイパは口だけでドラマーに対抗しなければなりません。
ボイパにはスピードとスタミナの二つが同時に求められるのです。
◆リズムという事
ボイパに求められるのは、スピードとスタミナだけではありません。
最も重要なのは「リズム感」です。
単に正確なテンポでリズムを刻むのであれば、リズムボックスなど機械で十分です。
曲のビートをリードして自在にスピード感やリズム感を変化させる事が求められます。
単調で正確なだけのボイパはコーラスグループのノリやグルーヴを殺してしまいます。人の声だけでダイナミクス溢れる演奏はボイパのリズム感、ビート感がリードしているのです。
◆生きたビートを出すためには
ダイナミクスのあるボイパ、生きたビートをボイパで出すためには、自分の演奏を録音してみる事です。
自分の声を客観的に聴く事で発声の仕方、リズム感を確認する事が出来ます。
また、メトロノームに合わせて練習するのもひとつの方法です。
メトロノームのビートを縫うように自分のビートが刻めれば、優れたリズム感が身に付いた証拠です。
スマホアプリにも簡易メトロノームがありますから有効利用しましょう。
◆まとめ
ボイパの具体的なやり方、練習方法をご紹介しました。
YouTube rたちの動画を研究しながらボイパの世界を楽しんで下さい。