ラップは歌う音楽ではありません。
ラップ(rap)には元々「会話」などの意味があり、メロディーに頼らず韻を踏む(ライム)歌詞を多用し、メッセージを届けます。
今回は、ラップの解説と人前でラップを上手くプレイするコツをご紹介します。
目次
◆佐野元春と吉幾三
意外な組み合わせに思われると思います。日本でのラップの元祖は実はこの二人なのです。
1980年代、佐野元春はアルバム「VISITORS」を発表しました。アメリカ、特にニューヨークに刺激を受けたこのアルバムにはラップ、ヒップホップの要素が取り入れられ、以前の佐野元春と大きく変化を見せたことで発売当時には賛否両論を生んだ名盤でもあったのです。
同じ頃、吉幾三の「俺ら東京さ行ぐだ」が発表されます。ヒットチャート上位に食い込む善戦を見せ、ラップの存在に注目を集める結果となりました。
◆ラップとダンス
ラップはその誕生以降、ヒップホップ音楽とともに隆盛を見せます。
特にダンスと融合する事で若い世代に広く受け入れられました。マイク1本でプレイ出来る手軽さと相手と掛け合いでラップをプレイするバトル形式も人気の原因でしょう。
「フリースタイル」と呼ばれる即興性の高い技法も生まれ、各地で大会やイベントも開催されるようになりました。
若いラッパーの間では、「サイファー」と呼ばれるラップを複数人数でプレイし合う事も人気です。
◆ラップのコツ
スマホからの音楽やビートボックスに合わせて歌詞(リリック:lyric)を繰り出すだけでラップになるわけではありません。
フリースタイルと言えど、ライムやフロウ(flow)のセンスが問われます。
ここで、ラップ初心者のためにラップのコツをいくつかご紹介しましょう。
・ライムとフロウ
ラップの基本は、ライムとフロウです。韻を踏むライムをマスターするためには、語彙(ボキャブラリー)を豊富にするトレーニングが欠かせません。
ラップに使えそうな単語をいかにたくさん知っているかが、ラップ上達の鍵となります。
本、テレビ、ラジオ、ネットなどあらゆる媒体から言葉を収集し、自分の語彙力を高めて下さい。
有名なラッパーの真似(コピー)も練習になりますが、真のフリースタイルラッパーを目指すなら、真似だけでは上達しません。
フロウは、いわば節回しです。メロディーに大きく依存しないラップですが、音程や歌い回しを無視するものではありません。
ラッパーを特徴つけるフロウの仕方=歌い回しをいくつかマスターしておくと、ラップの表現の幅が広がります。
・リズム
ビートボックスに合わせてプレイする機会が多いラップなので、ビートの頭を意識した4つ打ちのリズムが基本です。
ロックやダンスミュージックの強力なビートを感じながら、言葉を紡いでみましょう。
メトロノームの「コツ、コツ」という機械的なビートでも充分練習になります。
初めは80BPMくらいのスローテンポから始めて、徐々にテンポを上げてみましょう。120BPMくらいまでは、リリックものせやすくフリースタイルダンジョンにも適しています。
160BPMにもなると、言葉をのせる事すら難しくなるはずです。このスピードでも次のリリックが思い浮かぶくらいにボキャブラリーが豊富にならないといけません。
・ブレスのタイミング
リズムと共通するコツにブレス(息継ぎ)のタイミングがあります。
次々とリリックを繰り出すラップも、ブレスで言葉が途絶えては台無しです。
機関銃のように言葉を繰り出した後、適切なタイミングで息継ぎをする練習も欠かさないようにしましょう。
・ラップのウラ技
ここでライバルに差をつけるラップのコツをご紹介しましょう。
ウラ技的なものなので、多用すると効果が薄れます。
そのウラ技とは、「シンコペーション」です。
ビートの頭をズラす事で、スピード感を増したりインパクトのあるフレーズにしたりすることができます。
比較的簡単なシンコペーションの例として「三連符」があります。
本来、2つのビートに区切るべき箇所に3つの音(言葉)を入れ込む技です。多用するとビートが崩れてしまいますが、ここぞというタイミングでシンコペーションを入れるとインパクト大です。
◆まとめ
ラップの解説とラップを上手く聴かせるコツをご紹介しました。
ラップを上達させるには、自分のプレイを聴く事も近道になります。
一人でのプレイをスマホなどで録音して、リリックの選び方、ライムのセンスを復習してみてください。