スポーツの世界では、「名選手、名監督にあらず」と言われる事があります。
現役時代には素晴らしい実績・結果を残した選手が指導者(監督)に転身したものの、指導者として結果が出せないケースを指しています。
音楽の分野では現役のミュージシャンが講師(指導者)を務める音楽学校やレッスンもあります。
名プレイヤー、名ミュージシャンは名講師になりえるのでしょうか。
目次
2、講師に向いているミュージシャンと向いていないミュージシャンの違いとは?
◆「芸術は教えられるものじゃない」
新潮社から出版された『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』から引用しました。
音楽と美術において日本のトップレベルの若者が集まる東京藝大で教授が学生たちに言った言葉だそうです。
音楽理論は教えたり学んだりする事ができます。
ただし、実際の演奏となると芸術の域に達するには「教えられるものじゃない」という言葉は説得力があります。
しかし、現実には有名ミュージシャンを講師に迎えた音楽スクール(ボイトレ、楽器演奏)があります。
また、指導者として実績を残し、多くの生徒(ミュージシャン)を育てた講師もいます。
ミュージシャンにも、講師に向いているミュージシャンと向いていないミュージシャンに分かれるのではないでしょうか。
◆講師に向いているミュージシャンと向いていないミュージシャンの違いとは?
先ほどの「芸術は教えられるものじゃない」には一理あります。
演奏技術を教える事は非常に難しいことなのです。
しかし、「演奏が上達する方法」を教える事も、講師の仕事のひとつです。
生徒ひとりひとりに丁寧に向かい合い、生徒の性格や資質にあった教え方で演奏が上達する方法、ボイストレーニングの有効な練習法を教えるのです。
言わば、人間を観察する力が音楽学校の講師に求められます。
人間を観察する力は、直接的にはミュージシャンに必要な資質ではありません。
ただし、音楽を教える講師として求められるスキルです。
もうひとつ、音楽学校の講師として大切なスキルは、「指導力のバリエーション」、すなわち「表現力のバリエーション」が豊富な事です。
生徒の個性に応じた指導をする事で、生徒の基礎的な演奏技術を上達させる。
このためには、生徒ひとりひとりを観察した上で、生徒に最適な指導法で教える必要があります。
つまり、指導法の引き出しが多い講師ほど、良い講師という事になります。
指導法の引き出しが多いという事は、講師自身がたくさんの表現方法をマスターしていないと引き出しが増えません。
その意味では、表現の引き出しがたくさんあるミュージシャンは講師にも向いている、と言えます。
◆音楽教室の選び方・卒業生をみる
今、音楽教室、ボイトレスクールはたくさんあります。
その中から自分にあった音楽教室やボイトレスクールを見つける事は難しいかも知れません。
将来、音楽講師、ボイトレスクールの講師になりたい、そんな方々のために、ボイトレスクールを見つける簡単な方法があります。卒業生をみるのです。
ボイトレスクールの卒業生に有名ミュージシャン、ボーカリストがいるか?
という点をボイトレスクールのサイトでチェックしてみましょう。
卒業生に有名ボーカリスト、プロデビューした人がいる、という事はボイトレスクールとして実績がある、という確かな証拠になります。
◆まとめ
講師に向いているミュージシャンと向いていないミュージシャンの違いと題して、音楽学校、ボイトレスクールの実績(卒業生)をチェックする方法をご紹介しました。
「名選手、名監督にあらず」と言われますが、教え方の上手なミュージシャンは表現力が豊かな名プレイヤーでもあるのです。
名講師になりたいのなら、人間を観察する力を学び、表現力の幅を広げる事が大切なのです。