日本のアニメーションは他国よりも格段にクオリティーが高く、世界中に熱烈なファンがいます。
そのアニメーションの人気を押し上げるのに一役買っているのが、声優というお仕事です。
昔はアニメの吹き替えやドラマのナレーションが主な声優の仕事でしたが、今の声優さんはアイドルのようにライブをしたりと、その仕事内容も随分と幅広くなりました。
声優になりたい人は年々増えており、その競争率も倍増しています。
憧れの声優になるためには、日頃からの小さな努力の積み重ねが大切です。
今から気を付けたり、努力して身につけておけば、将来必ず役に立つトレーニングなどをご紹介します。
目次
声優になるための呼吸と筋力トレーニング
・腹式呼吸をマスター
発声において最も重要なことは呼吸です。
声のトーンを常に安定させ、誰が聞いても理解できるようにきれいに声を出すというのは実はとても難しい事で、体力、筋力そして正しい呼吸なしには出来ません。
そこで声優や歌手が必ずマスターしなくてはいけないのが腹式呼吸です。
歌を上達させるためにはもちろんのこと、大きな声を出したり、長ゼリフを話す時にも腹式呼吸は絶対です。
背筋を伸ばし、肩を上下に揺らさないよう気をつけながら、鼻からしっかり息を吸いましょう。
お腹の下の方へ空気を入れていくイメージです。
息を吐く時にはお腹の底から上に向かって空気を持ち上げていくようなイメージで、お腹をへこませていきます。
慣れれば自然に出来る動作ですが、普段から意識してトレーニングしていない人にとっては、この呼吸をし続けるのは難しく、辛いもの。声優にとっては基本中の基本ですので、今のうちにしっかり身につけておきましょう。
・舌根を鍛える
皆さんは舌の役割について考えた事がありますか?
味覚を司る大切な器官であることには間違いないのですが、それと同様に、発声を行う上でも無くてはならない器官で、舌が無ければ言葉は話せません。
舌の形や位置を変えることで発音は作られていますし、舌の力み加減により喉の開け閉めが調節され、発声に変化が生まれているのです。
つまり舌の緊張を取り除き、柔らかく自在にコントロールできるようになれば、発声も発音も容易くでき、表現の幅も広がるというわけです。
舌根を鍛えるトレーニングとしてよく知られているのが、舌を歯のまわりでぐるぐる動かす運動。
これは前歯と唇の隙間の歯茎に舌の先を入れ、歯茎のラインをなぞるようにゆっくり舌を右回り、左回りに動かす運動です。左右10回ずつも行えば、きっと舌の根元が痛く感じられるはず。
普段は使用していない筋肉が、しっかりと動かされている証拠です。
この舌根の筋力を鍛えようと思っても、一日二日で出来ることではありませんので、今から毎日コツコツと努力することが必要です。
・表情筋を鍛える
表情筋は顔の表情だけを作るものと思っていらっしゃる方も多いのですが、実は発音や発声にも深い関わりがあるのです。
単純に声のみを出すのであれば、口の開け閉めのみで良く、表情筋は必要ありません。
しかしそこには機械のような何の感情もない一定の音があるだけです。
声優の仕事は声のみで溢れる感情を表現し、観ている人の心に届くような声の演技をしなくてはいけません。
そのためには表情筋を豊かに動かし、多彩な発音や発声をする必要があるのです。
プロの声優さんは表情筋を思いのままに動かせるように常にトレーニングをし、表現の幅を広げる努力をされています。
効果的なトレーニングの一つがこちらの顔をすぼめたり広げたりする方法です。
先ずはすぼめてみましょう。
顔を前から紐で引っ張られているように口をつきだし、口や目を顔の中心に集めるようなイメージで動かします。
そのまま10秒間キープ。次に顔が左右上下に引っ張られ広がるようなイメージで動かし、そのまま10秒間キープ。そして元に戻します。この動作を5回繰り返します。
この運動で、普段あまり使うことのない表情筋を鍛えることができます。
舌根と表情筋を鍛えるトレーニングは、声を職業にされている方はもちろんのこと、歌を上達させたい方のボイストレーニングの一つとしても最適です。
・肺活量を鍛える
声優は時として、とてつもなく長いセリフを一息で喋るよう要求されたりします。
作品を素晴らしいものにするために、その要求にきちんと応えることが出来るよう準備しておかなくてはいけません。
そのためには肺活量が必要です。肺活量が少ないと息が続きませんし、通りの悪い声しか出ませ。今のうちにしっかりと鍛えておきましょう。
肺活量の鍛え方には、足踏みをしながら大きく呼吸する方法があります。
その場で足踏みをし、限界まで大きく息を吸い込みましょう。
一杯になったところで息を止めて10秒間その状態をキープします。
足踏みは止めてはいけません。そして今度は10秒かけてゆっくりと息を吐き出していきます。
肺の中の空気を全部出し切ります。
これで1セット。この動作を10セット、毎日行って下さい。
コツは足踏みをリズムよくし、止めないこと。
後半になるにつれ段々と呼吸も乱れ足踏みのリズムも遅れがちになりますが、肺活量が鍛えられていくと、これらも楽に出来るようになりますので頑張って下さい。
声優になるため気を付けたいポイント
・早口を治し滑舌よく話せるようにする
聞き辛い声や発音は、聞き手に疲労感や不快感を与えてしまい、次第にその声を避けるようになってしまいます。
滑舌や歯切れが悪いと思われる方は、必ず治すようにしましょう。
アナウンサーの方々は仕事前には毎日、早口言葉を練習されています。
皆さんもよくご存知の「おあやや、母親におあやまりなさい。」や「赤巻紙、青巻紙、黄巻紙、長巻紙。」といった早口言葉をスラスラ言えるように練習し、滑舌や歯切れの悪さを矯正していきましょう。
また早口も聞き手の心に伝わりにくい話し方です。
早口では音だけが聞き手の脳をよぎり、肝心の内容は相手の脳に残りません。
人の脳には理解ししやすいスピードというのがあるからです。
もしご自身の話し方が早口でしたら、日頃から意識して改善するようにしましょう。
・本をたくさん読み、知識や見解を広げる
世界の一流の俳優や声優の方々には読書家や、知識人が多いのはご存知でしょうか。
俳優や声優は与えられた役にならなくてはいけません。
自分が経験したことのある役なら良いでしょう。
しかし大半は未経験なことであり、自分で想像力を働かせてその役を表現するしかないのです。
その時役に立ってくるのが日頃からの読書です。本を読むことにより疑似体験ができます。
また本の内容を理解するためには読解力と想像力が必要です。
声優や俳優に必要不可欠な能力が、読書によって鍛えられるのです。
台本を与えられた時、その背景や登場人物の気持ち、行間に込められているであろう思いを感じ取れるか否かで、表現力に雲泥の差が出てきます。
・鼻濁音を意識してみる
鼻濁音とは「が・ぎ・ぐ・げ・ご」などの濁音を柔らかで滑らかな印象を与えるように、鼻腔内に響かせながら発声する方法です。鼻にかかったような声と言われることが多いでしょうか。
アナウンサーが身につけなくてはいけないテクニックの一つであるように、声を職業にする人には必要な技術でもあります。
鼻濁音で言葉を発音すると、音の領域が広がり日本語が美しく聞こえるという効果がありますし、実は歌がうまく聞こえる要因の一つでもありますので、歌のボイストレーニングにも取り入れられたりしています。
簡単な練習法では、「ん」の音を濁音前に付ける方法があります。
「んー」と音を出し、その後に「んーが」というように濁音をつけるのです。徐々に「ん」の音を短くしていき、最終的には鼻から息が抜けるよう意識しながら「ん」と「が行の音」を同時に発音します。
まとめ
最後に全てにおいて一番重要なのは健康だということを忘れないで下さい。声優は体力勝負であり、声が出なくては何も出来ません。
風邪を引かないようにするのは当たり前であり、喉のケアを日頃から行うようにすることを習慣化するようにしましょう。
声優は特殊な職業であり、大活躍できるのはほんの一握りの人達です。
そのチャンスが巡ってきた時、絶対に逃さず自分のモノにするためには日頃からの準備と努力がとても重要です。夢に向かって頑張りましょう。