子供には計り知れないほどの可能性が秘められており、その可能性を見つけ出して引き伸ばしてあげたいとどの親御さんも思うものです。
その子供の能力を成長させる方法の一つに「音楽」があります。
昔から子供の習い事には楽器が良いとか、幼少期には音楽を聴かせようなどと言われています。
私達は生まれたばかりの子供に子守唄を聴かせたり、ガラガラと音の鳴るオモチャで遊ばせたりと、自然に「音楽」を成長過程に取り入れていますが、いったいどのような効果を子供に与えているのでしょうか。
目次
幼児期に触れる音楽の大切さ
幼稚園では音楽に合わせて手遊びをさせたり、体を揺らしたり、歌を歌ったり、何かを使って音を出してみる遊びをしたりと、音を教育にふんだんに取り入れています。
それは幼児期の子供にたくさんの音楽を積極的に触れさせる事で、次の4つの能力が飛躍的に伸びると言われているからです。
1,運動神経が良くなる。
2,集中力が高くなる。
3,言語を理解する能力が伸びる。
4,EQ(感情知能)とHQ(人間性知能)が高くなる。
1の運動神経が良くなるは比較的聞いたことのある事ではないでしょうか。
カナダの研究でも明らかにされているのですが、特に幼児期に楽器を習っている人の運動能力は高い傾向にあるようです。
楽器の演奏は体の機能をフルに使わなくてはいけません。
楽譜を見て理解し、楽器の音を聴き、指を機敏に細かく動かしてコントロールする。
これらを習得する事で色々な神経が鍛えられます。
その結果、知覚・動作の連携がスムーズに行われるようになり、運動神経の良さに繋がるのです。
2の集中力は、音を耳にすることで、周りの音を注意深く聴くようになるからです。
最初は母親の声であったり、鳥や犬の鳴き声が何処からどうやって聞こえて来るのかに興味を示すところから始まり、聞き分けようと集中力を高めていきます。
そしてこの伸びる時期に音楽を与えると、更に能力がアップするのです。
例えばピアノを習わせると、ピアノの前にじっと座り、先生の言う事、楽譜、ピアノの音、自分の指の動きなど全てに集中しなくてはいけません。
幼児にはとても大変な事なのですが、これらが集中力を高める訓練にもなっているのです。
そして集中力を高めると同時に聴く能力をも鍛えられていきます。
子供で言語を習得するのが早い子、また大人になって他言語習得するのが得意な方は耳が良いからと言われています。
つまり聴く能力が優れているのですね。
音楽に積極的に触れさせることによって聴く能力を養えば、3の、言語を理解する力も養えると言うわけです。
4つ目に関してはアメリカのバーモント大学による発表です。
注意力と感情のバランスのマネージメントをする能力が、楽器を習うことで高くなるそうです。
楽器を習う事は先述したピアノの習い事の例からもわかるように、実に様々な体や脳の動きが必要で、思っている以上に高度な能力を必要とします。
これらを鍛えていくことで,人間性知能HQを養い、更に自分の感情を上手くコントロールする方法を覚え、他人の感情を捉える力や状況察知能力という感情知能EQが高まるということです。
音楽教室に通わせるきっかけ
幼児期に音楽にたくさん触れさせる機会を作ることは、子供の成長にとても良い効果を与える事が分かりました。
それ故幼い頃から音楽教室に通わせたいご家庭が増えてきているようです。
とは言え子供の性格にもよりますし、無理矢理強要しても子供にとってつまらないものになってしまっては、良い効果が得られるどころか半減してしまうでしょう。
世間ではどのような動機が音楽教室に通うきっかけになっているのでしょうか。
よく聞かれるのが、ご両親が既に音楽に親しんでおり、子供が側でそれを見ていて自主的に楽器を始め、さらなる上達を目指してというもの。
また音楽が根付いている家庭では、一家揃っての楽器演奏が夢だというお家も多いです。
そのような事から音楽教室に子供を通わせる方もいらっしゃいます。
同じ趣味によって家族の絆も深まりますし、とても素敵なことですね。
一方真逆な環境による動機も。
ご両親が音楽が苦手だったご家庭です。
子供の頃、学校の演奏会や発表会が苦手で楽しくなかったり、歌が上手くなかったばっかりに、歌の練習ですら嫌だったという方が、自分の子供に同じような思いはして欲しくないという願いから、音楽教室に通わせるパターンです。
子供が音楽教室で楽しそうにしている姿を見て、昔は嫌だったけど、もう一度チャレンジしてみようと勇気をもらうご両親も多いようでとても良い相乗効果です。
そして幼稚園に入った子供達が多く口にする言葉が「ピアノ弾きたい」です。
幼稚園の先生の弾くピアノやオルガンがカッコよく見えるのでしょう。
色んな事に憧れが始まる年でもあります。
じゃあ一度見学に行ってみようかと、子供を連れて音楽教室に行ってみたら、バイオリンがいいとか、歌のレッスンがいいとか、子供の興味は止まることを知らないようです。
子供の自主性が動機となって通い始める音楽教室ほど素晴らしいことはありません。
最後に近頃多いのが、絶対音感を身に付けるためにピアノを習わせてみたいというものです。
音楽家の家庭であればあった方が良いでしょう。
しかし中には絶対音感があるばかりに、音が少しでも外れていたり、音が多数交わるような駅や混雑した場所に行くと、気分が悪くなってしまうというデメリットを抱えてしまう方もいるようです。
もちろん音楽の幅は広がるという多大なるメリットは得られます。
3〜6歳の期間は身に付けやすい絶好の機会ですので、絶対音感に関心のある方は、この時期にお子さんを音楽教室へ通わせてはいかがでしょう。
正しく音楽に触れ合うために
このように幼児期に音楽に触れ合わせる事には、とても重要な意味があるのですが、一つ注意しなくてはいけない事もあります。
それは大音量で音楽を聴かせたり、長時間ヘッドホンを使用して音楽を聴かせてはいけないということです。
この行動は疾患に繋がる恐れがあるからです。騒音性難聴をご存知でしょうか。
大きな音のする所で長期に渡って仕事をしている方がなりやすい疾患です。
最初は耳鳴り程度から始まるのですが、次第に色々な音が聞こえにくくなってしまいます。
特に子供や女性の声といった高音を聞く事が非常に困難になります。
おかしいと気付いたら早めに医療機関を受診しなくてはいけないのですが、子供の状況にはなかなか気付きにくいものです。
せっかく音楽が身近にあっても、難聴になってしまっては元も子もありませんので、正しい環境を与えてあげるようにしましょう。
まとめ
終わりに子供には音楽を通して学べる事がたくさんあり、世界が大きく開ける事を知ってもらいたいと思っています。
例えば楽器の演奏。
初めて触れる楽器へのワクワク感から始まるのですが、当然最初から上手く弾けるわけではありません。
繰り返し繰り返し練習し、楽器によっては指が痛くなることもあるでしょう。
何度やっても上手くならなくてイライラしたり、辞めたくなったり。
でも出来るようなった時の嬉しさや達成感は格別です。
誰かとセッションする楽しさ、喜びも味わえます。
努力の大切さ、工夫の仕方、人間関係に至るまで、本当に様々な事が音楽から学ぶ事ができますし、音楽に接していないと学べない事もたくさんあります。
だからこそ音楽を人生に取り入れて頂きたいと思うのです。
また音楽と接する時には、是非楽しんでその心地良さをご両親共々味わってください。
上手に演奏する事だけが目的ではありません。
そこには楽しさがないと続かないのです。嫌だと思いながらでは学べる事も少なく、そして大人になっても好きになる可能性は少ないでしょう。
音楽を楽しみながら学べる環境作りをし、音楽の効果を最大限に得て人生を豊かにしてあげてください。