ファン投票によってメインボーカルを決めるアイドルグループがあります。
メインボーカル=センターになるために、彼女たちは様々な努力・工夫をします。
獲得した票数という明快な数字で決まるメインボーカルは、ある意味ファン(聴衆)に支持されたボーカリストと言えます。
しかし、数字で表される事柄以外が多いのも音楽の世界です。
良いボーカリストを数字以外で定義するとどんな条件があがるのでしょう。
目次
◆ボーカリストと歌唱力
自分の声で聴く人を惹きつけるのがボーカリストの役割なら、声の力、すなわち歌唱力はボーカリストにとって必須条件と言えます。
しかし、この歌唱力をどう具体的に説明するか、古くて新しい問題です。
よく通る声が歌を届ける条件であれば、声量もあるレベル以上が必要です。マイクにのりにくい声はホール最後列に届けられません。
言葉(歌詞)を届けるのであれば、聞き取りやすい発声法をマスターする必要があります。
言葉の意味を伝えるには、歌詞の意味を正しく理解する言語能力も必要になります。
この様に、歌唱力を説明するには、声質、声量を含めた発声、読解能力まで様々な条件が必要になってくるのです。
◆ボーカリストと音楽理論
プロのボーカリストにも譜面(スコア)が読めない人たちがいます。
ドリカムの吉田美和さんもその例です。
この事実は、ボーカリストには音楽理論が必須ではない事を示しています。
もちろん、一切の音楽理論が不要という事ではありません。
プロとして通用するレベルのボーカリストの中には、という前提条件付きで譜面が読めなくてもボーカリストにはなれるという意味です。
音楽の全てが譜面で表される訳ではありません。
しかし、自分の周りに鳴っている音を聴き、それに合わせて自分の声をコントロールするスキルはボーカリストにとって必須条件です。
この条件は知識ではなく、耳で音を理解するスキルと言えます。
◆ボーカリストとテクニック
ハイトーン、ロングブレス、高速ラップ。
どれもボーカリストにとって見せ場です。
ハイトーンをはじめとする歌のテクニックは、ボイストレーニングである程度身につける事が出来ます。
もちろん、生まれついての声質や声域に大きく左右される部分もありますが、後天的な努力によって声域を広げることは可能です。
しかし、良いボーカリストにとって、ハイトーンや高速ラップなどのテクニックは必須条件と言えるでしょうか。
答えはNOです。
先ほどのボーカリストと音楽理論と同じで、テクニックは所詮、手段でしかありません。
歌を届けるために、技術を駆使する事はボーカリストの目的ではないからです。
必要なのは、歌を届けるためにどんなテクニックを身に付けるべきか学ぶ意欲でしょう。
◆ボーカリストとルックス
メインボーカル(センター)には可愛い子が選ばれるのはアイドルの世界。
ボーカリストにルックスは必要なのでしょうか。
答えはNO、と言い切れないのが現実です。
人気のあるボーカリストの姿を思い出してみて下さい。
人前で歌うという大前提を避けて通れないショービジネス、エンターテイメントの分野では、ルックスもボーカリストに求められる条件の一つです。
ルックスが良ければ良いボーカリストになれる訳でもありませんし、ルックスがイマイチなボーカリストがYouTubeで一時的な人気者になれるのもそのギャップによるものです。
エンターテイメントの世界で生き残る良いボーカリストには、ルックスと人並み外れた歌唱力の二つが求められます。
◆まとめ
良いボーカリストのための条件について考察してみました。
歌唱力だけでは良いボーカリストになれません。
ルックスだけではボーカリストではなく、モデルです。
音楽理論は語れなくとも、音楽を理解してバンドメンバーやスタッフとコミュニケーションするスキルがあればボーカリストになれます。
つまり、音楽に関する高いコミュニケーションスキルが良いボーカリストへの条件と言えるのではないでしょうか。