バンドサウンドの華、ギター。
華麗な速弾きで聴衆を圧倒するギタリストも居れば、職人技のようなバッキングでボーカルやメロディーを支えるギタリストも居ます。
インスト曲ではなく、ボーカルのいる曲で良いギタリストの条件には何が求められるのでしょうか。
今回は楽器演奏者の中でも人口が多いギタリストにスポットを当てて、良いプレイヤーの条件について考えてみました。
目次
◆ギターという楽器
ギタリストについて語る前に、ギターという楽器についてあらためてご紹介しましょう。
ギターには6本の弦があり、その音域はE2〜E6(82Hz〜330Hz)、実に4オクターブもの音域があります。
一般的にボーカルの音域がA3〜C5とされてますから、ボーカルのバスからソプラノまでをギターはほぼカバーします。
エレクトリック(通称エレキ)、アコースティックに分類され、クラシック、ジャズ、ポップスとオールマイティに伴奏に使われる楽器です。
弾き語り形態ではギターを自ら弾きながら歌う人もいるボーカルとは相性のいい楽器と言えそうです。
◆ギタリストの定義
アンプラグド(アコースティック)形態では、ギタリストの定義・役割はボーカルの伴奏というポジションになります。
一方、バンド形態ではロックに見られるように、激しいリフを繰り出したりソロでの圧倒的なパフォーマンスが印象的です。
アンプラグドとロックバンド。
異なる二つの音楽形態ではギタリストの定義も全く異なります。
バッキングで伴奏に徹するギタリストも居れば、ソロで聴衆の耳目を集めるギタリストも居るのです。
その二面性は、6本の弦で和音(コード)もメロディーも演奏出来るギターという楽器特性を反映しています。
◆ボーカリストから見たギタリストの条件
ギターをソロ楽器ではなく伴奏も出来る楽器として捉えると、ボーカリストからギタリストに求める条件には何があるでしょうか。
・正しくリズム、コードを演奏する音楽的知識と技術
・広い音楽性と楽器(ギター)に対する専門性
・ステージ上での臨機応変な柔軟性
いくつかポイントが上がります。
まず、歌(ボーカル)の伴奏という視点に立てば、リズム、コードといった正しい音楽的な知識や技術は必須です。
「オレがオレが」といった自分本位なギタリストではボーカルのバックは務まりませんし、正しいリズムで伴奏出来なければ歌が聴く人に伝わりません。
ここで言う正しいリズム、知識・技術とは単に正確なだけではありません。
リズムのツボを理解したり複雑なコードを整理したりして、ボーカルに歌いやすい環境を提供する事が求められます。
正確なだけのリズムなら打ち込みバッキングトラックで歌えばいいのです。
ボーカルの緩急のある歌い方に合わせて、リズムを揺らす、コードの最適な響きを選ぶ。
ボーカルを惹き立たせる演奏が出来れば良いギタリストの条件がひとつ身につきます。
◆広い音楽性と専門性
ボーカルのバックを務めるには、ギタリストにも広い音楽性が求められます。
好きな音楽だけが弾けるギタリストにボーカルのバック演奏は務まりません。
好きな音楽ジャンルをしっかりとルーツに持ちながらプレイヤーとして求められる広い音楽性がギタリストに必要です。
リズム(テンポ)もバラードのようなスローテンポからミドル、アップと多彩なテンポに対応出来なければなりません。
スリーコードのブルース、Rock 'n' Rollばかりではありません。
ジャズのスタンダード曲にも、ボーカルがソングライターであればオリジナル曲にも対応出来る広い音楽性が求められます。
そして、自分のギターは自分でメンテナンス出来る専門性も合わせてギタリストに必要です。
ボーカルが自分の喉、身体を自分でケアする様に、ギタリストも自分の楽器は自分で責任を持つべきなのです。
◆臨機応変である事
「阿吽の呼吸」という言葉があります。ボーカルと文字通り息を合わせてステージ上で曲を作り上げるには、ボーカルとの息の合った演奏力が求められます
「百回の練習より一回のステージが上達の近道である」とも言われます。
ボーカルが求める演奏に一歩でも近づけるために、ギタリストをはじめプレイヤーは臨機応変な柔軟性が求められます。
◆まとめ
ここまで、良いギタリストの条件について考えてみました。
広い音楽性と楽器に対する専門性、柔軟な演奏力こそが良いギタリストの条件と言えそうです。
そして、その条件は良い伴奏者としての条件とも言えるのではないでしょうか。