歌には伴奏が必要です。
その伴奏をボーカルとして歌いながら自ら楽器も演奏するスタイルが「弾き語り」というスタイルです。
ギター、ピアノと弾き語りで使われる楽器にはいくつかあります。
ピアノ弾き語りというスタイルは、ポップス、ロック、フォークと幅広いジャンルで用いられる演奏形態です。
今回はピアノ弾き語りにフォーカスして、上手に歌えるコツをご紹介しましょう。
目次
◆ピアノの特性
楽器にはそれぞれ特性があります。
ソロ演奏に特化した楽器、伴奏に適した楽器。
それぞれの特性を知れば弾き語りが上達する速度も早くなります。
一般に、楽器は口からの距離に反比例して表現をつける事が難しい、とされています。
口からの距離が一番近いのは管楽器です。
口から息を吹き込み、唇の形で音程やビブラートなど細かい表現をつけ、指で正しい音程を操る。
息の強さや唇の形で多彩な表現が可能なのです。
次はバイオリンなどの弦楽器です。バイオリンを演奏している姿を思い浮かべて下さい。
あごで楽器を抑え、片方の指で音階と細かいビブラートをもう片方の手指で弓を使って音を出すのです。両手を使った豊かな表現が弦楽器の特性です。
そうした例をみると、ピアノに代表される鍵盤楽器は口からの距離が最も遠く、両手の指だけで表現しなければならない楽器なのです。
表現をつけるのが難しい楽器。それがピアノの特性です。
◆ピアノ弾き語りとは
表現をつける事が難しいピアノという楽器で伴奏をつけながら歌をうまく歌うには、どんな練習が必要なのでしょうか?
実は、ピアノ弾き語りでは思ったほど難しい手の使い方をなくてもうまく歌える方法があります。
ピアノ弾き語りだからと言って、必ずしもピアノで伴奏をつける必要はありません。
シンプルな弾き方で演奏を確実にすれば、歌が上手く聞こえるものなのです。
シンプルな弾き方こそがピアノ弾き語りという演奏スタイルでもあるのです。
では、シンプルなピアノ演奏とは、どんな演奏スタイルなのでしょう。
実例を挙げて2つのピアノ弾き語りのスタイルをご紹介します。
◆コード弾きという弾き方
ビートルズの「Let it Be」という曲をご存知でしょうか?
古い曲ですが世代を超えて愛されている名曲です。
イントロを聞けば曲名は知らなくとも一度は耳にされた事があるはずです。
あの「Let it Be」に使われている演奏スタイルがシンプルな弾き語りのスタイルである「コード弾き」なのです。
ピアノを弾く右手はコードを押さえて四分音符、左手はコードのルート音を添えるだけのシンプルさで、メロディーを際立たせています。
右手と左手を同じタイミングで「タンタンタンタン」と四つで弾いても良し、右手は四つ、左手はコードが変わるタイミングで1回だけでも良いのです。
どちらの弾き方もシンプルで簡単な弾き方です。
これなら難しいテクニックがなくとも、「Let it Be」と同じバラード調の曲のほとんどに応用出来ます。
◆アルペジオという弾き方
「アルペジオ」とは音楽用語の一つで「分散和音」という意味になります。
先ほどのコード弾きがコード(和音)を同じタイミングで弾いていたのに対し、アルペジオはコード(和音)の構成音を少しずつずらして弾きます。
このアルペジオという演奏法を使った曲には、ディズニー映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let it Go 〜ありのままで〜」があります。
イントロを聞いてみましょう。氷の世界をイメージさせる冷たいピアノの音で始まります。あの演奏法がまさにアルペジオです。
左手でルート音を押さえ、右手でコードの構成音をひとつずつ(アルペジオ)弾いて行きます。
これもシンプルな演奏法ですが、歌を上手く引き立てる演奏法です。
「Let it Go 〜ありのままで〜」では、前半でアルペジオを、後半ではコード弾きで力強く弾いています。
コード弾きとアルペジオという二つの弾き方を上手く組み合わせる事で、シンプルな演奏法ながら歌を効果的に引き立てているのです。
◆まとめ
ピアノ弾き語りについて、上手く聴かせるコツをご紹介しました。
弾き語りは思ったほどハードルは高くなく、コード弾きとアルペジオ奏法、最低二つのスタイルをマスターすればアレンジ次第でレパートリーがグッと広がります。
ピアノ弾き語りデビューしてみませんか?