美声トレーニングをされている方の中には、すでに、口の中や口元をしっかり開ける事が大切な理由をご存知の方は多いです。
「鏡を見ながら大きな口を開けて歌の歌詞をしましょう」などと書かれたものもありますが、どんなに鏡を見ても、意識をしてみても、難しいという人も多いのです。
いかに「口の中や口元を開ける」ということが簡単ではない事がお分かり頂けると思います。
色々、調べて試してみたけど上手くいかなかった、上達しなかったという方々に簡単な練習方法を3つ紹介します。
目次
まずはじめに
具体的な練習方法を説明する前に、まずはじめに、以下の項目で当てはまるものがあるかどうかチェックしてみてください。
・会話中に、何度も聞き返される。
・声が聞き取りにくいと言われる。
・電話口で話すのが苦手。
・カラオケでは、いつもマイクボリュームを上げて歌う。
・声量を上げても、カラオケマイクに声が入り辛い。
・自分の声が好きになれない。
・頻繁に「風邪をひいたの?」と尋ねられる。
・自分の鼻詰まりのような声を不憫に思っている。
1つでも当てはまる方は、口の中、口元の開き具合が一つの原因であると考えられます。
美声のために口の中、口元のトレーニングを始めましょう。
(口元とは、他人から口の開閉が見える周辺を指します。口の中は、前歯の手間から舌の付け根までの全体のことを表し普段は自分にしかわからない部分のことです。)
A 音の当たる場所のトレーニング方法
まずはじめに、口の中の広さ(大きさ)を確認しましょう。
1、「あ」と、言いながら口を大きく開けます。出来る限り最大限、口を開けましょう。
2、次に大きく口を開いた状態のまま、舌をベーっと下方向に強く突き出してみましょう。
3、そのままの姿勢で口で大きな息を吸いましょう。
4、入ってきた空気が口腔内でどこに当たっているかを意識しましょう。
5、再度、大きく口を開けたまま「あ」と言ってみて下さい。
6、続けて同じ様に大きく口を開いた状態のまま、舌をベーっと下に強く突き出してみましょう。
7、こうする事で、空気が口腔内でどこに当たるかを、確実に記憶してください。
この練習は、音が口腔内で当たっている場所を意識し理解する為のものです。
空気が当たる場所とは、音が口腔内から外側に出る直前に声が響く場所で、日常的に意識する事で、声を響かせる空間が広げる事が出来るようになるのです。
B 口を開けたまま歌うトレーニング方法
口周りの筋肉を刺激しましょう。
1、まず長細いペンを一本用意して下さい。(ペン先から最後部まで、均等な幅のものが好ましいです。)
2、これを横にした状態で口の前方に持って行ってそのまま両手で水平に持って、ペンを口の奥の方へと、押し込んだあと、そのペンを歯で噛んでくわえた状態を保ちましょう。
3、ペンを落とさないように意識しながら、唇が痛いかもしれませんが、唇の端、(奥歯)にペンを挟んだ状態を保って下さい。
4、このままで大きな声を出して「あーいーうーえーおー」と、言う練習をしましょう。ペンを落とさないように言うことができますか?
ペンを落としてしまった人は、口を大きく開けすぎていると思います。
ペンをずっと挟んだ状態で保つ事は、難しいと思いますが、練習を繰り返すと
「あ」の音の時は口を横に開く。
「い」の音の時は横に広げる。
「う」の音の時は唇の先を尖らせる。
「え」の音では、舌を前方に押し出す。
「お」の音では口を縦にする、などそれぞれのコツや特徴がはっきりと分かってくるはずです。
5、これらに気付けたら、そのままで歌を歌ってみましょう!
歌う時に唇を開けて舌を動かし、それと同時に顎も上下左右に動かす事だという作業に気付くことが大重要です。
ペンを落とすことなく、そのままの状態で最後まで歌うことが可能でしたか?
慣れるまでは少し大変かもしれませんが、一音一音の大切さを意識しながら、口元や口の中の筋肉を鍛える事で変化が感じられると思います。頑張りましょう!
これを習得できたら、次のステップに進みましょう。
C 言葉の発音位置のトレーニング方法
1、さっきと同様のペンを使います。
2、今回は、前歯の後ろ側(八重歯周辺で)そのペンをかみましょう。
3、同様に「あーいーうーえーおー」とできる限り大きな声で発声してみましょう。
奥歯周辺でペンを噛んでいた時と比べて違いが感じられましたか?
両方とも、発音しにくいのは同様だと思いますが、二つめの位置での方が、 言葉の発音位置
が前方にある事が分かっていただけたと思います。
最初のトレーニングでは奥歯周辺にペンを噛ませ、舌の奥で言葉が発するようにしました。
今回は、重心バランスを前方で意識するように無理に作りましょう。
手前側にペンをくわえている事で、言葉が自然に前方から出てくると思います。
4、さっきの感覚でこの違いに気付けたら、今回もペンをくわえたままの状態で歌を1曲歌いましょう。
口や顎の筋肉が疲れると思いますが、最後まで歌う事ができましたか?
5、歌い終えられたら、ペンを口から外して歌ってみてください。
今までと音声や歌声の聞こえ方が違うはずです。
以上3種のトレーニングで、歌唱時に必要な筋肉に刺激を与え鍛えました。
これらを習得できたら、意識しないうちに、普通に歌った時でも、今まで使えていなかった筋肉を使えるようになるのです。
まとめ
日本語は、口を意識して大き目に開けなくても話せますが英語では、舌全体や唇を使って発音します。
たとえば、英語の発音「V」の時は下唇を噛みますし「R」の時には巻き舌をし、「W」の時には、大き目に唇を前に出すなどがわかりやすいでしょう。
では次に、ちょっと口を動かさないように意識をして日本語を喋ってみてください。
・・・簡単に出来ると思います。
しかし、英語は舌や口元を使う言語なので、口を動かさないで話すのは簡単ではありません。
これらのことや、最初に述べたAB、2種類のトレーニングで「口元が閉じた状態で歌うと、歌い辛い」という事が体感できたると思います。
(当然ですが、ペンがなければはっきり美声が出せるのです。)
当たり前である発声のシステムに気付くことが何よりも大切です。
もし、このトレーニングを通しても口元が大きく開けられないという人は、口周りの筋肉が弱い事だけが理由ではなく「口を大きく動かさずとも会話が可能」な習慣が染み付いている状態でもありと言えるでしょう。
このように口腔内だけで発音・発声する事で、唇よりも外側に、音の元となる母音が出ていかないので『聞きとりにくい』『声が音としてマイクに入り辛い』という状態が生じてしまうのです。
言葉や音は、唇の外側に押し出た段階でやっと「声」になるのです。これからは必ず、これらを意識し、美声トレーニングに取り組んでいただけたらと思っています。
無意識の内に口の内側も外側も開ける事が可能になったら、あなたの声が大きく変わります!最後まで諦めずにチャレンジして美声を習得してください。