あなたは「巻き舌」と聞くと何を想像しますか? 日本の文化として巻き舌はマナー違反と捉える方も多いので、子供の頃にふざけて巻き舌をして、大人に怒られた経験がある方もいるかもしれません。
日本語での会話は巻き舌を使う機会が少ないため、そのままその行為自体が苦手になる人が多いのです。
では日本以外だとどうでしょう?いくつかの国では巻き舌は日本とは違った扱いを受けています。
街中で英語以外の外国語を耳にした時、それを強く認識したことがある方もいるのではないでしょうか。
顕著なのが「ロシア語」です。「ロシア語」は巻き舌を使った発音が多い言語として広く知られています。
実際に聞いてみるとわかりやすいのですが、日本語で言う「R」の発音が全て巻き舌で表現されるのです。
ロシア語の挨拶で言うと「Здравствуйте!(ズドラーストヴィチェ)」の「ラ」の音は巻き舌、と言う形になります。
日本人にとっては聞きなれない音なので驚く方も多いかもしれません。
ロシア語を話す場合には上手な巻き舌づかいが必須となり、それができなければ言葉を理解してもらえない可能性さえあるのです。
それゆえロシア語は、世界で一番難しい言語と言われているほどです。改めて日本国内の巻き舌の使われ方に注目してみましょう。
一般的には苦手な人が多くても、「声」の仕事をする人たち(歌手・声優・ナレーターなど)は、基礎発声として巻き舌を練習します。
発声法としてそれほど重要視されているのですただし巻き舌にも得手不得手があります。
前述のロシア語を話すロシア人でさえ、綺麗な巻き舌で発音できる人もいればそうでない人もいます。
巻き舌の本場の人でさえできない人がいるので、「自分には難しいな・・・」と諦めてしまう人もいるかもしれませんが、練習をすれは改善される見込みがあります。
まずはどうしてできないのかを探ってみましょう。
目次
1. なぜ巻き舌ができないのか
最初にどうして巻き舌ができないのかを考えます。
ここでは大きく3つに分けて、考えられる原因を上げていきます。自分がどのタイプなのか当てはめてみましょう。
1 .マナー違反という意識
第一の原因として、イメージの刷り込みがあります。
導入でもお話しした通り、子供の頃にふざけて巻き舌をして、大人に怒られた経験がある方は少なくないはずです。
それが実際にマナー違反なのかどうかは別として、イメージとして「やってはいけないこと」だと刷り込まれ、使用する機会が減るのは事実です。
そのため巻き舌のスキルが成長せず、苦手になってしまうことが考えられます。
巻き舌と同じような発声は日本語の中では非常に珍しいので、子供のころから大人になるまで全く使ったことがない方もいるかもしれません。
子供のころにチャレンジしたことがない人は、それ以降大人になるまでなかなかチャレンジする機会もないはずです。舌の動きは日本人にとってそれだけ難しいと考えられます。
2.日本語では使われない音
英語学習の際に、よく日本人は「th」の発声が下手だと言われます。
また「R」と「L」の違いも日本人にとっては非常に聞き取りづらいとされています。
なぜかと言うとこれらは「日本語では使われない音」なのです。
日本語的な発音では「rice(米)」も「lice(シラミ)」も同じように発音してしまうことがあります。
なぜそれで困らないかと言うと、日本語は発音ではなく文字を見て判断するので、多少の発音の違いでも意味が通じる場合がほとんどだからなのです。
最初の文字を無視して発音する「hour」と言うような単語もありません。
加えて、巻き舌の使用は日本語にはありません。
日本語を利用する際に巻き舌は一切必要なく、そのため苦手な方が多く存在するものだと思われます。
3.ハードルが高いというイメージ
テレビ番組やコンサート、ミュージカルなどで歌手の方が巻き舌を上手に使いながら歌っているのを見ると、真似したくなることがあります。
巻き舌は歌の中でも効果的にアクセントをつけることができます。
しかし、巻き舌ができない人には、「自分には難しい・・・」と、どうしてもそのハードルの高さから諦めてしまう人も多いと思います。
しかしそのイメージはただの思い込みかもしれません。
練習をすればできるようになる可能性はあるはずです。最初から諦めないで、この機会に克服してみましょう。
2. 長時間の巻き舌ができないのはなぜ?
少しだけなら巻き舌をできる方もいるかと思いますが、ボイストレーニングで行われるような長時間の巻き舌はなかなか難しいとされています。
どうしてかというと長時間の巻き舌は思っているよりも疲れて、続けるのが難しいのです。なぜそうなってしまうのかもう少し深く考察して見ましょう。
1. 口の筋肉が緊張したままになっている
歌を歌う時には、口の筋肉が緊張したままだとうまくいきません。
力を抜いて、無意識で、リラックスした状態で歌うことは非常に大切なポイントです。
短い時間だけなら巻き舌ができるという方は、口元に力が入り、リラックスできていない状態かもしれません。
力を抜いてゆったりとした気持ちで挑戦してみましょう。
2. 口開かないままになっている
長時間巻き舌を行うコツは、口の開き具合にあります。
口を少しだけ開けて、空気がどうやって出入りするかを意識しながら行うとだんだん長く続けられるようになります。
もし口が閉じたままになっていると、空気の流れが止まり、綺麗に巻き舌を続けるのが難しくなってしまいます。
上手く続けて巻き舌ができない方は、小さく口を開けて練習をしてみましょう。
3. 巻き舌が効果的にならないのはなぜ?
巻き舌ができる人でも、歌唱時にそれを上手に表現できないという人はいると思います。
歌唱中の巻き舌の使用自体は問題ないのに、どうしてそういった状況が発生するのでしょうか。
一番の理由として考えられるのは巻き舌の多用です。
巻き舌を習得した後はどうしてもそれを使いすぎてしまいがちになります。
特にもともとできなかった人が練習の上でできるようになると、その傾向はより強くなります。
それによって、歌唱中に通常よりも多く巻き舌を入れたくなったり、普段は入れないところで巻き舌を使ったりする状況が生まれやすくなります。
巻き舌に限らず、ビブラートやしゃくりといったような歌唱技法もそうですが、適切な場所で使用することでより効果的になり、聴く人を引きつけることができます。
むやみに使用してしまうと、聞き手にとってはしつこく感じたり、聞きづらい印象を持ってしまったりする可能性があり、本来の歌のイメージが失われてしまいます。
どんな技法も限度があります。最初は原曲に沿って歌うことを意識すると上手に聞こえるはずです。
4. 巻き舌をどうやってマスターするか
ここまで様々な原因について考えてきました。
では実際マスターするにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは大きく分けて2つの方法を提案します。
1. 自宅で一人でもできる方法
一つは一人でもできる練習方法です。
「ル」の音を重ねて発音してみましょう。
巻き舌をする際に一番やりやすい音が「ル」と言われています。
「ルルルルルル」と続けて発生していき、徐々にそのスペードを早めていくことがコツです。
音と音の間隔が狭くなっていくことを意識しながら繰り返し練習しましょう。
次第に巻き舌が自然とできるようになっていきます。
2. ボイストレーニングにチャレンジ
1の通り、巻き舌だけであれば一人で練習することも可能ですが、歌手や声優としてプロになりたいと思っている人にはもちろん限界があります。
変な癖をつけず実力を伸ばしたい人は、初めからボーカル教室やカラオケ教室といったようなボイストレーニングを行える場所に通うことをお勧めします。
そういった場所では巻き舌以外のスキル(ビブラードなど)や発声方法も同時に学ぶことができます。
歌を仕事にしていきたい人はできるだけ早く通い始めることが大切になります。
5. まとめ
日本人にとってマナー違反というイメージがある巻き舌ですが、適切な場所で使えば非常に効果的で楽しいものです。
一人でできる練習から始めてみて、あなたも是非巻き舌をマスターしてみませんか?