ボイストレーニングを受けておられる方の中には、肺活量をあげることで速いテンポの曲やバラード曲などが歌いやすくなるだけでなく、歌っている本人に余裕ができる事で気持ちがいいと感じられるメリットなどについてご存知の方が多いと思います。
よって肺活量を高めるトレーニングとして、マラソンや筋トレや水泳、ボイストレーニングなどを個人的に検索された方もいらっしゃると思います。
しかし実際に自分の肺活量がどれくらいであるかご存知の方は少ないです。
さらに今回は、歌唱力に特化してロングブレスや身近なものを使った効果的な肺活量トレーニングにフォーカスして説明していきたいと思っています。
1日約10分ほどでできるトレーニングですので気楽に続けられると好評です。
あなたの美声づくりのヒントになればと考えています。
目次
あなたの肺活量はどれくらい?
まずはじめに、あなたが肺に息を吸い入れた後に可能な限りまで吐き出せる空気量=肺活量の目安について、実際に割り出してみましょう。
日本人が目安としている基準値は成人女性が2500cc成人男性で3500ccとされており、下の式に年齢と身長を当てはめることで知ることができます。
男性肺活量ml=(27.63−0.112×年齢)×身長cm
女性肺活量ml=(21.78−0.101×年齢)×身長cm
他にも、肺活量予測値として、ke!sanというウェブサイトで検索が可能です。
こちらも性別と身長と年齢を入力することで、計算をしてくれる便利なサイトです。
(※しかし、ここで注意していただきたいのは、これらはあくまでも一般的な予測値であって、実際の数値と相当しない可能性があることです。くれぐれも参考として見る程度の利用をおすすめします。)
このことからもわかるように肺活量が多い人は、一回で吐き出せる空気量が多くなり、きれいなロングトーンが出せる、息継ぎの数が少なくない状態で歌が歌えるなどのメリットが増えることも知られています。
継続しやすい肺活量を高めるトレーニング
これは、息を吸うことよりも吐き切ることにポイントを置いて練習するトレーニングとなっています。
毎日、約10分を目安にして継続的に取り組むことが大切なのでで、くれぐれもやり過ぎには気をつけましょう。
① トレッチ
まずは、ゆっくり息を吸いながら腕を上にあげて、長く息を吐きながら腕を下におろしましょう。
(可能な方は腹式呼吸をしながらストレッチをすると効果的です。)
この腕を下ろすときに、両方の肩甲骨を近づける事を意識しましょう。図を参考に腕を後方に動かして下げるとやりやすいです。
次に、首と腰を、時計周り、反時計周りの順で軽く回すストレッチをしましょう。
このように、最初にストレッチを行うことで、筋肉の深部をほぐし、スムーズな呼吸を促します。
また肺活量トレーニングを始める前に、肩や肩甲骨と首、腰をほぐすと効果が出やすくなります。
②ロングブレス
次に、ゆっくり息を吐きながら肩を脱力させ鼻からゆっくり息を吸いましょう。
そして、2秒間、息を止めましょう。
そして「フー」と言いながら息を細く長く吐き出すイメージで最後まで吐ききりましょう。
慣れるまでは30〜40秒間に吐き切る事を目標にし、少しずつ吐き切る時間を伸ばすと良いでしょう。
吐き切ったら、最初に戻って、やさしくゆっくり息を吸って繰り返しです。
ロングブレスとは、名前の通り、長く息を吐く練習で、継続する事で、息の吐く量がコントロールできるようになり、効果的なトレーニングと言われています。
この時に、腹痛をイメージしてお腹を軽く曲げる姿勢で取り組むといいです。
③小刻みブレス
吹き矢をイメージしながら好きな曲に合わせて小刻みにホッホッホッホッと息を吐く練習をしましょう。
こうする事で肺が小刻みに動き、肺活量アップにつながるのです。最初は例え3分程の曲であっても、ヘトヘトに疲れる方が多いです。
無理せずに「しんどい・キツイ」と感じたら、即、中断し少しずつ、練習時間を伸ばしていきましょう。
④上級編 エッジボイスを使った朗読
エッジボイスとは、声を長く細く飛ばすイメージで発声するもので舌を声に這わせるような途切れ声だと表現する人もいます。
ホラー映画に出てくる怨霊が発する「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”」だとも言われています。
これは、普段の声よりも含まれる息の量が少ないのが特徴として知られていて、上級編として紹介しています。
これができるようになったら、お気に入りの本や詩の朗読に挑戦してみましょう。
慣れないうちは、くれぐれも無理せずに1文章から始めて、少しずつ一息で読める量を増やすようにしましょう。
⑤番外編 身近なものを使ったトレーニング
なんと、身近なペットボトルや風船を使っても、トレーニングが簡単にできます。
2リットルサイズまでの様々な容量のペットボトルや風船を一息で凹ませたり膨らませたりするだけでも効果があります。
何秒でどれくらいまででできるか、自分の肺活量の変化が目に見えるので楽しめるのです。
他にも、有名歌手が使用していると話題になっているパワーブリーズなどの肺活量を鍛える器具を活用してトレーニングをするのもいいでしょう。
価格は6千円〜1万円程なので、場所や時間を気にせずに思い立った時にトレーニングをしたい方にはオススメの方法です。
まとめ
以上、ご紹介したトレーニングを毎日継続する事で、一ヶ月後には肺活量の変化が感じられるようになるでしょう。
練習する時の留意点としては、気合いを入れすぎて急に激しいトレーニングをすると、喉や肺、横隔膜などに負担をかかり、歌い辛くなるリスクがあることです。
くれぐれも無理のない程度で自分の体と向き合いながら取り組みましましょう。
自分の好きな曲や読み物を工夫して取り入れるなどして、楽しみながらトレーニングを毎日、継続するようにしましょう。