みなさんは歌がうまくなる為に、どんな練習をしていますか?
歌の上達には、音域を広げる練習、声を長く出す練習、声量を増やす練習など様々な基礎練習をする必要があります。
しかし、息の吸い方について意識をした事はありますか?
今回は、息の吸い方と、発声時のお腹の使い方について説明したいと思います。
目次
1.息を吸う事の重要性
声を出すには、まず息を吸う必要があります。つまり、息を吸う事が正しくできていないと、良い声は出ないという事です。
ついつい練習の中から除外されがちですが、息の吸い方は、歌の上達の上でとても重要な事と言えます。
さて、それではどのように息を吸うと良い声が出るのでしょうか?まずは自分の体をじっくり観察してみましょう。
2.息を吸うと体はどうなる?
まず、楽な姿勢で深く息を吸い込んでみます。さて、息はどこに入りましたか?体にどのような変化がありましたか?
たっぷりと息を吸ったとき、肺の周りの肋骨が膨らんで、鎖骨や肩なんかも自然に上がるのを感じられたのではないでしょうか?
その感覚を十分に意識して、たっぷりと息を吸うことが大切です。
3.息は肺に入る事を意識しよう
日本では長らく声楽や管楽器の世界において、「腹式呼吸」という言葉が一人歩きし、「息はお腹に入れるもの」という誤解が人々の間で蔓延してきました。
しかし、近年アレクサンダー・テクニークという視点(人間の体の構造を理解し、発声、演奏、演技などを妨げる動きを改善する技法)から、「息をお腹に入れる」という意味合いの腹式呼吸が、発声や演奏に不利益をもたらしている事が指摘され、徐々に広まりつつあります。
腹式呼吸を叩き込まれた時代に声楽や管楽器を始めた人は特に、「お腹に息を入れなきゃ、息を吸う時は肩を上げちゃいけない」と変に力が入って、たっぷり息が吸えていない人が多くいます。
しかし、息は肺にしか入らないのです。
息を吸う時に、自分の肋骨とその周辺が膨らみ動く事をいつも意識し続けることで、自然にたっぷりと息が吸えるようになるでしょう。
吸える息の量は、声量や長いパッセージが歌えるかどうかに直結してきますから、とても重要な事です。ないがしろにせず、練習時に意識して息を吸うようにしましょう。
4.声を出すときにはお腹を使おう
では、「お腹」はどんな時に使うのでしょうか。それは、声を出す時です。
長い音を伸ばすとき、音程がブレないようにぐっと腹筋に力を入れて声を保ちます。
また、クレッシェンド、デクレッシェンドや音の終わりに息が苦しくなってきた時、お腹で息を支えて音程を保ちます。
お腹を使って息を保つ感覚が分からない人は、小さな音量で良いので、長~く声を伸ばしてみましょう。
ハミングでも、「あ~」でも良いです。
もう息が持たない、無理だ、と思っても、そこからあと10秒伸ばすつもりで声を出し続けてみて下さい。
その時、下腹部にぐっと力が入って、なんとか声を出そうとお腹が頑張っているのを感じ取れるのではないでしょうか?
その時の、「お腹で息を支える感覚」でいつでも発声できるようになると、ハリ・コシのある声で歌えるようになります。
5.まとめ
歌が上手くなりたい、と誰もが思いながら毎日練習をしているのですが、ついつい声を出した後のステップに目が向いてしまって、呼吸の事まで気が回らない人も多いように思われます。
しかし、息を吸うという練習は、声を出さなくてもできるので、通勤時の電車の中、仕事中、家事をしながら、いつでも試す事ができるのです!
この機会に、是非みなさんも息を吸うことに意識を向けて、呼吸の練習をしてみて下さいね。