ギターの松本孝弘氏とボーカルの稲葉浩志氏に二人組ロックユニット、「B’z」。
1988年のデビュー以降、8,000万枚超のセールス記録を打ち立てたモンスターバンドです。
松本氏の繰り出すギターリフ、ソロはギターキッズの羨望の的です。
もうひとつのB’zの顔、ボーカルの稲葉氏も唯一無二の存在感を放っています。
その独特の歌唱法は、TVでモノマネになったりカラオケでも人気の曲となったりしています。
今回は、そんなB’zの稲葉氏の歌い方にスポットをあて、歌い方の解説をしようと思います。
目次
◆稲葉氏の歌い方・特徴その1:3オクターブ半の声域
稲葉氏のボーカリストとしての歌い方の特徴は、まずその広い声域です。
3オクターブ半もあると言われています。
その中でもハイトーンが注目されます。最高音はhihiA(一説にはA#)とも言われ、ロングトーンでも裏声になることなく、伸びた高音を聴かせてくれます。
声域は持って生まれた体質による部分が多いのですが、ボイストレーニングで徐々に声域をある程度広げる事は可能です。
また、声域は年齢とともに狭くなるので、広い声域を維持するには日々のボイトレが欠かせません。
◆稲葉氏の歌い方・特徴その2:エッジボイス
稲葉氏のボーカルの特徴その2は「エッジボイス」によるロックらしくザラついた声です。
倍音を多く含むエッジボイスは、B’zのようなロックに荒々しさを加える事に貢献しています。
エッジボイスとは、声帯を閉じたまま息を少しずつ出して声帯を振動させて出す発声法です。
閉じた声帯の振動が細かくなるため倍音を多く含んだ声になります。
声帯を閉じて発生するため、声帯とその周囲の筋肉に負担がかかる歌い方になります。
稲葉氏の場合、エッジボイスを歌詞の頭に使ってアタックを強調したり、逆にロングトーンの語尾に使ったりして洋楽で言う所のボーカルフライのように発声しています。
◆稲葉氏の歌い方・特徴その3:3オクターブ半の声域
稲葉氏の歌い方、最大の特徴と言えるのが、抑揚表現でしょう。
語尾をうねるように裏返してみたり、歌詞の頭を下から上げるようにひねってみたりと独特の節回しが聴けます。
「ネイ」、「ヤイ」と言った部分にその抑揚表現が顕著です。
先述した3オクターブ半もの声域やエッジボイスはボイストレーニングの積み重ねの賜物です。
この抑揚表現は稲葉氏と独特のものではありますが、生まれついての声帯の強さや声域、ボイストレーニングの成果であるエッジボイスと比べると稲葉氏のような歌い方を身に付けやすい要素ではあります。
CDやDVDをよく聴き込む事で習得できるはずです。
◆モノマネを目指すか?オンリーワンを目指すか?
バンドファンだけでなくカラオケ好きな人たちにも人気があるB’z。
カラオケでB’zのナンバーをカッコ良く歌えれば飲み会も盛り上がるでしょう。
先述したエッジボイスはボイストレーニングのレッスンが不可欠です。
抑揚表現だけは、CDやDVDを研究する事で稲葉氏独特の表現もある程度身に付ける事が出来るでしょう。
しかし、それは稲葉氏の物真似であってあなたのボーカルスタイルではありません。
カラオケでB’zを稲葉氏のように歌いたいなら、本格的にミックスボイスでのハイトーン、エッジボイスを使ったロックスタイルを学ぶ必要があります。
その上で稲葉氏の抑揚表現も真似ればカラオケの分野では、B’zのように歌えます。あくまで物真似として。
しかし、ボーカリストとして世に出たいなら、稲葉氏のような3オクターブを超える声域とエッジボイスでも表現を修得した上で、あなただけの歌唱スタイルを模索してはどうでしょう。
オンリーワンを目指すのです。
◆コピーから始まるオリジナリティ
もちろん、B’zを含めたくさんのロックバンド、ユニットは最初から唯一無二、オンリーワンの存在ではありませんでした。
最初は有名なバンドのコピーを経験して、次第に自分自身のアイデンティティ、オリジナリティを確立していったのです。
事実、B’zも洋楽ハードロック(ホワイトスネイク、モトリークルー、ガンズアンドローゼズなど)をコピーし、ライブでも披露しています。
そうした音楽的バックボーンとしてハードロックをコピーする事で自らの音楽性に取り込み、B’zとして昇華していったのです。
◆まとめ
B’z稲葉氏の歌い方を完璧にマスターするのは至難の技です。
普通の人に3オクターブ超の声域を求めるのはハードルが高すぎるでしょう。
それでも、B’zを愛するファンはB’zのようになりたくてボイトレに励むのです。